比叡山延暦寺の霊園に隣接する大津市栗原の建設残土処分場第五弾「入札」

大津市は、平成26年6月、契約規則の改正が行われ、工事の請負又は業務の委託についての入札につき、「予定価格」及び「最低制限価格」を事前公表している。
当会が問題視したのは、平成26年11月18日に行われた、「残土処分場法面対策工事」(担当課:環境部不法対策課)の入札において入札参加業者全社が予定価格(上限)を投じ、くじにて決定している事案である。
大阪においても未だに予定価格・最低制限価格を事前公表している地方公共団体は存在するが、全業者が予定価格を投じくじ決定する事案は、見受けられない。以上のことから、環境部長宛に対し、談合の予測、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に抵触の有無を問いただす質問状を提出したところ、環境部長の回答は・・。

(環境部長の回答内容)
一般的に予定価格及び最低制限価格の事前公表により、強く落札を望む業者が、最低制限価格を投じる可能性は否定できませんが、今回の入札は、各業者が積算を行った結果、予定価格でなければ割が合わないと判断し、全社が予定価格を投じたのではないかと考えます。
「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」及び「公正取引の確保に関する法律」に抵触していたとは考えておりません。



との回答を得た事から
市トップである市長に、環境部長の回答を踏まえ同じ質問を行ったところ、

(市長の回答は)
予定価格及び最低制限価格を事前公表としたのは、平成26年6月以降に実施した入札です。入札前に予定価格と最低制限価格を聞き出して、入札の公正を害そうとする不正行為を抑止するとともに、発注者の関与の排除措置を徹底するためには。事前公表とすることが有効であると考えています。
なお、この度のような案件については、これ以前から警察及び公正取引委員会と連携して、適切な入札執行を確保してきたところですが、改めて大津市入札監視委員会の意見を求めることとします。また、すでに警察と公正取引委員会に対しては、本件について報告済みです。

と、回答があった。
市長と環境部長(事務方)とでは、受け止め方に大きな開きがあると感じさせられた。また、同年度内に環境部では、同種事案が4件、市全体では44件もあり、異常事態となっていたことが確認された。その予算執行額は
予定価格(税別)合計406,333,000円で「くじ落札」されている。
最低制限価格合計352,669,000円で落札されていれば、
その差53,664,000円の市の予算が、全て上限の予定価格で落札されたことになる。

当然、全てが、最低制限価格で落札されるものではない、安かろう悪かろうという言葉があるように、本来は、予定価格が正常価格であり、当然業者側も積算されるであろう、ただ、発注側が、予定価格、最低制限価格を事前発表すれば、積算もせず入札し落とすだけ落として下請けに丸投げする事案が多々ある、当然環境部長の回答にあるように、「予定価格でなければ割が合わないと判断し」て、談合の有無にかかわらず、予定価格(上限)を入れるという暗黙の了解があったのかも知れない。発注側(市)においては、これだけの件数が、26年度に集中して起こっているにもかかわらず、市の幹部が放置していた責任の所在は如何なものか、また、市の積算がそれ程までに現実と合わないものか、今後も解明に向け追及するものである。
当会は、琵琶湖の自然環境の保全再生及び破壊活動の調査等を実施し、琵琶湖淀川流域で生活する約 1500万人の命の水源を守ることを趣旨とし活動しているものであるが、本件の様な事案が、大津市の宝である琵琶湖の環境保全に費やす公費に影響を与えているのであれば、見過ごす案件でないことは当然である。今後、マスコミ及び公正取引委員会や当会顧問である特捜部OBにも相談の上、今後更なる追求、解明をなし糾弾するものである。

最後に、予定価格を事前公表すれば必然と管製談合は解消される、市のトップとしてはこれ程楽なものはない、心配事が一つ解消されるわけであるが、入札談合防止の観点からは逆効果であり、競争入札本来の趣旨である競争性の確保に欠けるものである。 つづく
2016年08月04日